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自転車を用いた
環境知覚促進ツール


PERIOD

2010/4〜継続中


TEAM

栗林 賢
松原 正樹
忽滑谷 春佳
(メンター)筧 康明


CONTACT

culi@sfc.keio.ac.jp

「街や風景をもっと楽しみたい!」

 そんな思いから私たちは、自転車移動による風景の変化を音楽へ変換することで風景の知覚を豊かにするツールを開発しています。

 一般的に色数や明度彩度の分解能より、音色や音程などの方が細かく捉えることができるということがあります。例えば、照明の明るさが数段回の違いしか認識できないのに対して、音程の高低や楽器の音色の違いなどは多くの人が認識可能といったふうにです。

 この研究は、視覚とは異なるチャンネルを通して、普段は気付かない風景の微妙な変化を知覚できるようにすることを目的としています。現在、ChariMusicとChariMelodyという2つのツールを開発し、実践を行っています。

 ChariMusicは、音の変化をきっかけとして、空の開閉や左右にあるものをより意識的に感覚・観察することを促します。

  1. 青空の領域/空が開かれているかどうか→調性:長調/短調(明るい感じ/暗い感じ)を切り替える
  2. 左右を通るモノを数える→音楽の速度/BPMに反映させる

 CyclingMelodyは、音の変化をきっかけとして、風景の色変化や風景を構成するものの感覚・感覚を促し、 自分の感覚に合う音を模索して調整し続ける中で自分の感覚と風景の関係を探究を促します。

  1. 風景の色相→音色/楽器の種類*ユーザーがその色味に合う楽器を自分で設定する
  2. 色の明度→音程*ユーザーが色ごとの音程の差を調整する
  3. 色の彩度→音量を増幅
  4. ユーザが設定したピクセル数を超える色があると音が鳴る
  5. 一番多い色の捕食にあたる色の音は鳴り易く
  6. 一定期間出現していない色の音を鳴り易く

 開発したツールを使用しながら自転車で走る実践実験を行っています。 乗車後に実践を通して考えたこと/感じたこと/気付いたことなどを日記のように書いています。 この文章データをを元に、実践者の知覚がどのように変化しているかを分析しました。 ひとつは、空間ー音楽ーシステムー身体感覚という分類に対して、意識の向きがどのように変化しているか。 短期間のデータですが、徐々に身体感覚に関する言葉が増えていることがわかります。 もうひとつは、変数種類数(着目したモノの種類)の変化です。 こちらは実践を継続している中で、着目できるモノが増えて行っていることがわかります。


PRESENTATION/PUBLICATION

自転車を用いた環境知覚促進ツール,慶應義塾大学 SFC Open Research Forum 2011,東京ミッドタウンホール,2011.

M. Matsubara, S. Kuribayashi, H. Nukariya, and Y. Kakehi: CyclingMusic& CyclingMelody: A System for Enriching Scenery Experience in Cyclingby Real-Time Synaesthetic Sonification of Passing Landscape.Proceedings of the 34th Annual Meeting of the Cognitive ScienceSociety, 1 page (abstract only), 2012.7[pdf}

松原正樹, 栗林賢, 忽滑谷春佳, 筧康明:自転車移動における風景の可聴化による環境知覚促進ツール. 人工知能学会身体知研究会, Vol.SKL-12-03, pp. 10--15, 2012.3 [pdf}

ChariMusic調性変更の説明

ChariMusic速度変更の説明

ChariMelody音設定インタフェース

実践分析:自転車日記→意識の向き

実践分析:自転車日記→変数種類数